2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

2話 瓶詰悪魔 -7-

ちーちゃんはわたしに気にするなと言った あーちゃんはわたしにごめんねと言った わたしはなにも言えなかった ◆リビングのテーブルの上に無言で鈴華の入った箱を置く。 『空音。今までありがとうございました。あなたと暮らした間はわたしの人生のなかで最も…

2話 瓶詰悪魔 -6-

わたしは自分の性質がだんだん強くなっていくのを感じた。 二人から距離をとった。 二人ともものすごく怒った。 わたしは泣いた。 結局仲直りした。 わたしはこれを今でも―― ◆時計の針と共に死は確実にわたしに迫る。 和真はいろいろと悪魔に質問している。 …

2話 瓶詰悪魔 -5-

中学になってもわたしたちの関係は変わらなかった。 ちーちゃんもあーちゃんもけっこうもてた。 好きな人の話もした。将来についても話したりした。 ◆1時間が過ぎた。 和真は一人で瓶の蓋を捜索していたが見つかっていない。 わたしはさっきからこうしてボ…

2話 瓶詰悪魔 -4-

たまにケンカもした。 でも最後にはちゃんと仲直りした 3人で笑って3人で泣いた ◆不本意ながら夕食の準備は中断した。和真に一通り事情を説明する。 「いやはやひさびさに面白い展開だ!助っ人の介入によって真実は白日の下にさらされ一気に事態は急展開!…

2話 瓶詰悪魔 -3-

おんなじ小学校にもいったし おんなじクラスにも何回もなった 違うクラスのときも3人よく集まって遊んだ ◆時間が過ぎる。 『悪事を働く』と、自ら宣言した悪魔はその言葉に反して あいかわらずぼんやりとTVを眺めているだけだ。 何が楽しいのか芸能人旅行記…

2話 瓶詰悪魔 -2-

どこにでもいったし どこでもあそんだ ちーちゃんは男の子たちにもまざってよく遊んでいた あーちゃんはおとなしくていつもにこにこ笑っていた わたしはふたりのあいだをうろうろしていた ◆第1回 坂下家、悪魔との夕べ。 ・・・いやふざけているわけじゃな…

2話 瓶詰悪魔 -1-

いっしょにまた遊ぼうね。とちーちゃんは言った。 うん、とあーちゃんも言った。 わたしは黙って頷いた。 わたしたちは仲のいい3人組だった。 ◆その日は日曜で、わたしは近所のスーパーまで買い物に出ていた。 具体的に言うと、タイムセールのチラシがポス…